大嶋啓之コンサート「Gathering at the Vanity Fair」にコンサーティーナで出演してきました

実績

ご来場いただきありがとうございました

大嶋啓之コンサート公式サイト「Gathering at the Vanity Fair」

2025年3月1日(土) 亀戸文化センター カメリアホールで開催されました。

私はコンサーティーナ奏者として第一部と最後の曲の演奏に参加しました。
大嶋さんのファンの方々が中心に集まって大変盛り上がり、最後には総立ちのスタンディングオベーションをいただきました。

私のTwitterフォロワーの方もたくさん来てくださり、終演後はロビーでお声がけいただきオフ会状態になりました。
人生初のサインを書いたり(考えていてよかった)、差し入れをたくさんいただいたりしました。

まずは、ご来場いただいた皆様に感謝申し上げます!

普段はこのような演奏の振り返りは書かないのですが、今回のコンサート企画は実に1年間を費やしてきたもので感慨深く、文章に残したいと思うようになりました。

<今回コンサーティーナで演奏参加した楽曲>

  • 天路歴程
  • 虚無への黙祷
  • 創世のコンツェルティーナ
  • Immram Brain
  • 組曲『英雄*戦姫』
  • 颪 ―おろし―
  • 樹 ―いつき―
  • ヤナト田植唄・巫 ―かみなぎ―

なぜ出演することになったのか ~ コンサート前日譚

ここからは、仙台のコンサーティーナ奏者であるRyoが、なぜ大嶋啓之さんのコンサートに出演することになったのかについて記録しておきます。

※全体のまとめと経緯については大嶋さんのブログ記事にまとめられています。
https://hiroyukioshima.blogspot.com/2025/03/consert10.html

まず、大嶋さんは、Twitterのコンサーティーナ界隈で話題になった楽曲「創世のコンチェルティーナ」の作曲者でした。

SEGAの音ゲー「CHUNITHM」のキャラクター「リタ・スカーレット」がコンサーティーナを弾くという設定で、そのイメージで制作された楽曲です。

また、私の尊敬する超絶技巧コンサーティーナ奏者Mohsen Aminiさんのバンド「TALISK」の影響も受けて制作されたとのことで、私に刺さる要素しかない楽曲でした。

そしてこの楽曲がきっかけで、作曲家のPotwiさんからお声がけいただき、私は2023年にゲーム内の同キャラをテーマにした楽曲公募に参加することになりました。
残念ながら採用にはなりませんでしたが、Potwiさんとケルトファンタジーな楽曲制作ができ、音ゲーマーだった私にとっては応募できただけでも大きな経験でした。

Lyrica ConceLtica / Potwi × Ryo 【第五回チュウニズム楽曲公募】
※ケルトパートの作曲と、コンサーティーナ・ティンホイッスルのRECをしています。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm43216586 (ニコニコ動画)

そんな中、2024年3月、私のもとにメールが届きました。
それは大嶋さんからの出演依頼で、1年後のコンサート企画の概要について綴られていました。
私は「創世のコンチェルティーナ」の一件でコンサーティーナという楽器にスポットを当ててくれた大嶋さんに(勝手に)感謝していたので、力になれるならぜひとも協力したいと思い、即レスで「出させてください」と返事をしました。

そして、大嶋さんってどんな人だろう?と検索したとき、衝撃が走ります。

「『why, or why not』の作曲者だ……!」

この曲は、私が学生時代どハマりしていた「ひぐらしのなく頃に」ED曲として、何度も聴いたりカラオケで歌ったりしていた曲でした。

続けて、音楽サイト「muzie」時代に活躍されていた方ということも知りました。
私は小学生の頃、インターネットをADSLで繋いでいた時代からパソコンで個人サイトを作ったり、MIDIで曲を作ったりしていたので、muzieにも馴染みがありました。

「当時絶対お見かけした名前だ……曲も聞いている……。」

全てが繋がった瞬間でした。

「えっ、しかも『why, or why not』を歌う片霧烈火さんも出演するんですか!?」

コンサートまでの準備 ~ アルバム制作

大嶋さんからは、コンサート前に事前収録をして、後日販売するということを知らされていました。

コンサートと同じプログラムを全て収録した超ボリュームのCDはこちらです。
2025.3.15まではCD受注生産の受付をしており、その後はダウンロード販売の予定もあるそうです。
『Afterglow of the Vanity Fair』特設サイト

録音は私の自宅で行いました。
普段Youtube等にアップしている楽曲制作と同じ環境ですが、ハイレゾで録るのは初めてでしたし、技術的にコンサーティーナが難しい曲も多かったので苦戦しました。

当時のTwitterのポストはこちらです。

今日やってて思ったんですが、コンサーティーナのレコーディングってマジで難しいと思います。 フレーズによって異なる運指や蛇腹の切り返しなどで生じる、細かいリズムのブレや音量差をなくさないといけないのです。 普通に演奏する分には多少ごまかせると思うのですが、録音はそうはいきません。

ダイアトニック(押し引き異音)楽器の難しさはここにありますね! ピアノアコーディオンだったら基本的に音量やタイミングを一定にしやすいと思います。 切り返しで注意するのは同じだと思いますが……アングロコンサーティーナは切り返しが多すぎる……
午後10:04 · 2024年7月6日

しかし、スタジオ収録だったら何日掛かっていたかわからないので、自宅での録音を許可してもらえて本当に安心しました……!

こうして、私は日々収録を進めながら、大嶋さんの名曲の数々と本気で向き合っていったのでした。

ちなみに私は本番前のゲネプロにも参加が難しいことが先に分かっていたので、この事前収録があって本当によかったです!
一人での練習だけで、当日ぶっつけは絶対無理でした……。

大嶋さん来仙

9月には、大嶋さんはわざわざ仙台まで会いに来てくださいました。

私がTwitterで「定禅寺ジャズストリートフェスティバル」に出演することを告知していたのを見てくださったようで、今回共演したベースのY.O.U.さんと一緒に見に来てくれました。

私のオリジナル曲を演奏するアイリッシュバンド「週末ファンタジア from Barm’s」での演奏を30分お二人に聴いていただいたのですが……
今思うととんでもないことだなと思ってます。

演奏終了後はそのまま駅前でランチやカフェでご一緒し、いろいろとお話までさせていただきました!
大嶋さんもY.O.U.さんもとても優しくしてくださって、コンサートへの不安がだいぶ和らぎました。

写真はそのとき食べた牛タン定食です。
「仙台民は普段牛タン食べない」というのは私にはあてはまり、食べる機会がそんなにないのですが、たまに食べるとやっぱりおいしい。

コンサート当日 ~ コンサーティーナの音響の難しさ

一回のみのスタジオリハを経て、いよいよコンサート当日がやってきました。
2週間前から毎日マスクをして過ごし、高麗人参が入った薬膳茶を飲んでバフをかけたりと、これまでになく体調を万全にして臨みました。

リハーサルでは、コンサーティーナのマイクセッティングが難しく、返し(自分の音を聞くモニタースピーカー)の音が聞こえず焦りました。

コンサーティーナは構造上、楽器の左右から音が出ます。
私が普段演奏しているアイリッシュではドラム・ギター・ベースは入らないので、普段は左右にマイクを2本立てればなんとかなっていました。
生楽器としてはそれに比べて音量が小さすぎるので、マイクの音量を上げようとするとどうしてもハウリングします。

PAさんとともに1時間の格闘の末、ベストなマイク配置が決まりました。
(最終的になんか見たことのない超指向性のマイクを出してました。)
担当してくださった方には本当に感謝しております。
勉強にもなりました。

「コンサーティーナが大きなバンド編成に入ってホールで演奏する」という状況は、前代未聞でした。
参考にできるものがなかったというのは言い訳ですが、甘く見ていたのも事実です。
次回があれば、楽器用マイクをなんとか工夫して制作したり、イヤモニの用意を検討したりなど改善したいです。
この点のみ、本当にもう一度チャンスがほしいです……!

Y.O.U.さんのコーヒー

さて、直前がリハーサルが終わり、楽屋ではY.O.U.さんが焙煎した最高のコーヒーをいただきました。

ちなみに、コーヒーは仙台に帰ってきてからもう一度落ち着いて飲みたくなったので、ネット注文しました。
皆さんもぜひ!

Y.O.U.さんのコーヒーが買えるオンライン販売サイト。豆とドリップバッグがあります。
Cafe A Miracle with You.
https://cafeamwy.square.site/

緊張が和らいだところで会場のベルが鳴り、いよいよステージへ向かいます……。

「天路歴程」「虚無への黙祷」

カメリアホールが大方埋まっている状態に感動を覚えつつ(半分ぐらいの入りかなと思っていました)、一曲目の「天路歴程」が始まりました。
バンドの皆さんのセッション風イントロが奏され、その後最初のメロディーはなんと私のコンサーティーナ。
続けてhiyamaさんのバイオリンが入り、コンサーティーナと交互に演奏し、ハモる。
この最初の部分だけで、コンサート全体で私がなすべきことが凝縮されているようでした。

サビは感情を揺さぶられるメロディーが奏され、その後はコンサーティーナでアラビア音階フレーズをソロで弾くという難しすぎて死ぬほど練習した場面があったり、バイオリンとコンサーティーナのソロバトルがあったり見どころたっぷりな曲でした。
この辺は本当に音源を購入して聞いていただけるとわかりやすいです……!
今回1曲目からクライマックスですよね、とhiyamaさんと話していました。

その後、大嶋さんがMCでだいぶ笑いを取った直後の、ズドーンという感じで入る「虚無への黙祷」
MCと楽曲の雰囲気の落差がすごいのは、観客席の皆さんも感じていただけましたよね!

さて、「虚無への黙祷」はPC音ゲーBMSの名作として有名な作品です。
(どうでもいいですが、私も過去にオリジナル曲でBMS制作の大会に参加したことがあります)

BMSでは、プレイ画面の横に映像が流れます(BGAと呼びます)。
そのBGA中で、「記憶の果てに見た風景」「帰るべき場所」というキャプションとともにいくつかの写真が出てくるのですが、その中にアイルランドのThe Rock of Cashelと思われる城が登場します。
2023年にアイルランドに旅した私は、とてつもなく感情移入してしまいました。

この作品が作られたのは2001年。
私がアイルランドを知るずっと昔からケルト音楽を作っていた大嶋さん深い尊敬を抱きながら、この曲の演奏に取り組んだのでした。

「創世のコンツェルティーナ」「Immram Brain」

大嶋さんがマイクを渡してくださったので、ここでいつもライブでやっている簡単なコンサーティーナ紹介をしました。
やってみたかったやつですが、お客さんに「コンサーティーナの音を生で始めて聞く人!」と聞いてみて7~8割手が上がったのはちょっと壮観でした。

その流れで、「創世のコンツェルティーナ」が始まりました。
この曲のために呼んでいただけた、その一心で冒頭のソロを弾き始めました。
拍感のない、フリーリズムなイントロ。
バンドの皆さんが私にバチバチに合わせてくれて超気持ちがよかったです。
この曲だけは、音響チェックの意味合いもあり、リハで数回合わせさせてもらいました。
(逆に言うと、他の曲は私が入って合わせたのスタジオリハの1回だけです。プロの皆様すごすぎます。)

また、この曲と田植唄だけは暗譜して臨みました。
本番は、もう目を閉じて全部弾いたような気がします。
いろんな方が感想で「キャラバンみたい」と言っていたのがわかります。
とにかく、楽しかったです。

ちなみに、コンサート1か月前、大嶋さんと話していて急遽宣伝も兼ねて「創世のコンツェルティーナ」の演奏動画を作りました。

【コンサーティーナ速弾き】創世のコンツェルティーナ/大嶋啓之【音ゲーCHUNITHM収録曲】
https://youtu.be/oHbwwlkVqrs

ちょうど毎年動画を出している、2月6日の世界コンサーティーナの日(World Concertina Day)が近かったのでなんとか間に合わせ、海外の公式サイトに掲載してもらうこともできました。
ついでに海外のコンサーティーナコミュニティでも紹介して、いろいろコメントで喜んでもらえたりもしました。
原曲の伴奏をお借りして作っているので、興味のある方はご覧ください。

続いての曲は「Immram Brain」
あんなにコンサーティーナが活躍した直後なのに、またコンサーティーナソロから始まります……。
間違いなく最難関の楽曲でした。

中間部と最後のサビで、TALISKのような高速3連同音トリプレットを全7回叩き込みます。
技術的な面で言えば、最後の最後まで、この部分が引っかかっていました。
本番は皆さんが手拍子をしてくれたのでだいぶリラックスして弾けたように思います。
収録では100テイクくらいして全部きれいにトリプレットが入っているので、ぜひ聞いてくださいね!!

イントロとアウトロのゆっくりなソロも、実はコンサーティーナにとっては非常に難しいです。
このように低音域が多いとき、アングロコンサーティーナでは左手の小指・薬指・中指を使います
運指的にかなり工夫もしました。

また、この演奏をお客さんから見たらこんな感じだったんだろうなというのを分かりやすく表しているポストがあったので、紹介させていただきます。
人の頭くらいの大きさの打楽器はシェケレですね!
私も初めて見て面白いなあーと感動してました。


正直、この3曲目と4曲目の並びが大変ハードだったので、この曲が終わってからほぼ私の第一部は終わったような感じ……。
この後の3曲はウイニングラン気分で楽しく演奏できました!


組曲『英雄*戦姫』

続く組曲『英雄*戦姫』は10分超えの曲です。
全4曲をこなした私にとってもう怖いものはありません(?)
バンドの皆さんの盤石なリズムチェンジを楽しみながら、hiyamaさんのバイオリンとの掛け合いをしながら演奏していきました。
私は舞台上手側にいましたが、左に大嶋さんが立ってお客さんに手拍子や足拍子の手本を示していました。
曲は3つ目のカリブ海の曲に入りました。
そのとき、私の耳に聞き慣れないリズムの手拍子が飛び込んできて……

「えっクラーベ!?」

正確には2-3ソンクラーベというサルサのリズム。主にクラベスという打楽器でやるやつですね。
何が起こったとびっくりして即座に左にいる大嶋さんをチラ見したら、楽しそうに手拍子を煽っていました……(笑)

その後はずっとメロディーだったので余裕はなかったのですが、「いやお客さんすごいな!?」と考えちゃったりして面白かったです。
コンサート終了後に感想ツイートを見たら「突然作曲者による音ゲーが始まった」みたいに書かれていて爆笑しました。

その後のアフリカ曲では、コンサーティーナでフリジアンスケールが入り運指が難しかったです…!
なんとか乗り越え私にとって安心のケルト曲が入り、終曲ではEメジャーキーになり、またhiyamaさんと掛け合いをしながら進んでいきます。
あとはコンサート後に書いた以下のポストに尽きます。

特に組曲『英雄*戦姫』については、コンサーティーナとバイオリンでひたすらキャッチボールして9分後ラストにユニゾンになるという…… その瞬間はやはりhiyamaさんと目が合って、泣きそうなくらい楽しかったです。

「颪 ―おろし―」「樹 ―いつき―」 ~ サクナヒメは神ゲー

ゲーム「天穂のサクナヒメ」からの2曲です。
私は大嶋さんにコンサートのお話を伺ってすぐ、まずはゲームを買うところから始めました。
その前からSNSでの盛り上がりは知っていましたし、知人に「絶対ハマるよ」と薦められたりしていたので、迷わず購入しやり込みました。

思った以上にボリュームのあるゲームでしたが、一気にクリア後のやりこみ要素まで完全クリアしました(天返宮300層)。
安直ですが、神ゲーすぎました……。

米作りを体験し、試行錯誤して学んでいく。
このゲームは人生の解像度を上げてくれるゲームでした。
プレイ後には、それまでの人生より明らかに「ごはん」を大切に食べるようになったし、美味しく思えるようになりました。
ゼルダの伝説ブレワイをプレイしたサラリーマンの方が、「電車の窓から見えた山を見て『登れそう』と思った瞬間、涙が溢れて止まらなかった。」という伝説のレビューがありますが、それに近いものを感じました。
人生を変えるゲームです。

──さておき、2曲とも演奏の方は熱すぎました!!
実際ステージの温度はだいぶ上昇したと思います。
汗でコンサーティーナのボタンが滑って焦るくらいでした。

「颪 ―おろし―」2週目はhiyamaさんのとてつもないアレンジによりエレキバイオリンが本領を発揮します。
それだけで十分なのに、裏ではコンサーティーナで伴奏を弾きながらペンタトニック半音階フレーズを弾くという、わけのわからないことをしているのでぜひ音源で聴いてください(何度目?)

「樹 ―いつき―」はコスモスカイオーケストラのやなぎさんによる編曲で演奏しました。
さすがコンサーティーナを弾かれる方、アレンジも弾きやすく楽しかったです。
また、大嶋さんと私を仲介してくれた方でもあります。終演後にお話ができて本当に嬉しかったです!

大人気かつノリノリの楽曲が奏され、もうお腹いっぱいの第一部が無事に終了したのでした。

コンサート第二部

基本的に私は最後の曲以外お休みでした。
「降り番」というと打楽器プレイヤーだったオーケストラ時代を思い出します。

さて、第一部で全てのパワーを使い果たした私は、魂の抜けた感じでステージ袖に立ち、演奏を見守っていました。
全曲演奏したバンドの皆さん……大尊敬です。

「Ambivalenz」──この一部の盛り上がりで第二部の始まりをピアノソロで始める勇気。
kidlitさんは本当に素敵でした。
販売されていた小冊子に楽譜が付いていたので、いつかピアノで弾いてみたいです。

続いては「水の中の永遠」「メトロニカが聞こえない」「木の葉の道を二人で」
ボーカル曲でも、それぞれ「大嶋さんの曲だ」と分かる特徴があるのが流石です。
浮遊感のある曲想に、透明感のあるkidlitさんの歌声がマッチしていてひたすらに美しかったです。

ステージ袖から、じんじゃさん(Key)、Akhtさん(Dr)、Y.O.U.さん(Ba)、暁さん(Gt)の一体感があるパフォーマンスを見て、自分の演奏観が変わりました
私もアイリッシュを弾くときとは違い、今回はだいぶ動いていたと思います。
(自分ではあり得ないくらい動いていたように思うのですが……TALISKには及びませんが。)
しかし、メンバーの皆さんはそんなレベルではなかったですね。

「こんなに魅せる演奏ができるのって普通なのだろうか……。」と勘違いしてしまうくらいでしたが、このメンバーだからこそでした。
改めて、本当にすごい人達と共演させていただいたんだと実感しました。

いよいよ片霧烈火さんが登場し、「When they cry」が歌われます。
本物だ……。
私が横から見ていて最も印象に残ったシーンは1番サビ直前4拍目
ベース・ギター・ドラムがそれぞれ楽器やスティックを振り上げる様子にしびれました。
原曲ではこの小節でひぐらしの鳴き声が入り、3拍目だけ無音になります。
生演奏なので原曲のような無音のカットはできませんが、それでも私はあのシーンが脳裏に焼き付いて一週間経った今でも忘れられません。

当時に聞いたときはそこまで何度も聞かなかったのですが(「why, or why not」 ばかり聞いていました)、コンサート前後で一番聞き返しているのがこの曲です。
大人になってから改めて聞くと、竜宮レナの境遇を含めて刺さる曲です……。

「why, or why not」……小冊子にも書きましたが、今回聴くのを一番楽しみにしていた曲でした。
高校生のとき、一生懸命英語を覚えてカラオケで歌っていた思い出が蘇ります。
「ひぐらしのなく頃に」アニメEDのイメージが強いので、絶望的で儚いイメージがつきまとうのですが、サビでは少しだけ希望を感じるようなコード進行がまさにひぐらしという感じで大好きでした。

Y.O.U.さんのアレンジにより、Cメロでは原曲と異なり推進力のあるリズムが現れます。
バンドらしいアレンジとも言えますが、この部分は「絶望の中でもあがき続けて、前に進んでいく」というメッセージを感じました。
勝手な解釈かと思っていましたが、Twitterで同意見の方がいて嬉しかったです。

またこの曲で演奏された様々な金物打楽器と音響効果刀。
takaさんの同時演奏力に感動しました。
ファンタジーな雰囲気を出す打楽器が大好物なので良アレンジすぎて大満足でした。

大好きな2曲、眼前で圧巻のパフォーマンスが繰り広げられ、感情がめちゃくちゃになったところで最後の曲。
再びステージへ歩き出します。

「ヤナト田植唄・巫 ―かみなぎ―」

そして最後の曲は「ヤナト田植唄・巫 ―かみなぎ―」
あの片霧烈火さんが歌っている真横でコンサーティーナを弾けるなんて……。
企画段階では第一部だけと聴いていたので、まさか共演できるとは思っていませんでした。
この点についても、最後まで気遣ってくださった大嶋さんに感謝しております。

この曲は大嶋さんが今回一番大切にされているように思えたので、音数は少ないものの、心を込めて弾きました。
歌の歌詞が良すぎるので、日本人みんな聴いたほうがいい曲だと思っています。

後奏では、当日聞かされた(!)会場練り歩きがありました。
本当に偶然ですが、最近別の演奏で歩きながらコンサーティーナを弾くというのを何回かやっていたのでできました!!

アングロコンサーティーナは、普段アイリッシュを弾くときは膝に乗せて弾きます。
細かい切り返しの操作が必要な楽器なので、膝に乗せることで安定して蛇腹を押し引きできます。
ゆえに、立奏は支えがなくなる分、難易度が高いです。
カッシーワさんの真似で鍛えていてよかったです。
ありがとうカッシーワさん。

聞きに来てくださった方は間近でコンサーティーナの生音を聴いていただけたでしょうか。
終演後の感想では「近くで楽器を見れて良かった」「きれいな楽器だった」などのコメントをいただけてとても嬉しかったです。

コンサーティーナって芸術品なんです!

まとめ ~ 音楽人生の集大成

私の音楽のルーツは多岐に渡ります。

RPGをはじめとするゲーム音楽、音楽ゲーム、幼少期から親しんだエレクトーンやピアノ、吹奏楽とオーケストラでの打楽器、キーボード、ギター、カホン、三味線。
作曲においてはクラシックと、日本の旋法や伴奏付けについても研究しました。
そして、11年間続けているアイリッシュ音楽――。

いろいろやってきたこれらの経験全てが、今回のコンサートに繋がりました。

私の音楽人生をコンサーティーナという楽器に集約し、大嶋さんの音楽を通して表現できたと思っています。

そんな私にとって大事なステージを見に来てくださった皆様、そしてお誘いくださった大嶋啓之さん、本当にありがとうございました!!

第二回の開催もいろんな方に期待されています。

私は再び呼んでもらえるかどうか分かりませんが、そんな日がいつ来てもいいように……

これからもコンサーティーナ奏者としてもっと成長します!

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